前回の記事でいったん、そこそこ使い勝手も良く、パノラマに向くという点でマミヤプレスは優れたカメラであるという結論になりました。



今回は番外編として、使い勝手にはやや難があるものの、比較的安価に入手できて軽くて持ち運びやすいLOMOのスプロケットロケットに関してレビューします。
0. これまでの経緯
とある写真展でアートパノラマという617フォーマットで撮られた写真に感動し、自分でもやってみたくなった一方で、アートパノラマそのものが高価という事、三脚が必須であること、引き伸ばしには8x10に対応した引き伸ばし機が必要になることから、アートパノラマを使うことはあきらめました。
しかしながら、1:3という横長のアスペクト比の魅力だけでも試してみたいということで、マミヤプレスを使用し、上下をトリミングすることで28:84mmの1:3のプリントを作成し、写真展をするまでにこぎつけました。
1:3というアスペクト比に際しては、どうしてもレンズに要求されるイメージサークルが大きくなることから、それに対応できるカメラもどうしても重く大きく(そしてそれ故高価に)なってしまいがちです。もう少し、軽くて扱いやすく、カジュアルに使用できるカメラはないものかなぁという気持ちもまた残っています。

1. 検証するカメラ
今回検証するカメラはLOMOから販売されているスプロケットロケットというカメラで、大体1万円で購入することができます。大きさはポケットに入るかというとかなり微妙ですが、かるくライカ判のフィルムを使用して36枚撮りのフィルムで半分の18枚前後の撮影が可能です。
搭載されているレンズは30mmで絞りはf10.8とf16、SSはBと1/100のみ使用可能という割り切りが重要な仕様となっています。一応シンクロ接点はあるので暗所に関してはストロボ撮影で対応するということのようです。巻き上げは少しずつ進んでいくカウンターを見ながら目視で合わせるという古典的な仕様です。古い中判カメラでたまに見られる方法ですね。
印象としては、焦点距離そのものは申し分ないですが、より明るいレンズを搭載して、シャッターも1/8, 1/50, 1/500くらいはあればより良いなと思いました。また、巻き上げも自動では止まらないので、少し気を遣いました。実際の使用ではどのようなフィーリングなのでしょうか。


DSC_0420












2.作例
フィルムはKodak XXを使用しました。描写があまいので、TriXやKodak XXのようなコントラストが出やすいフィルムが合います。また、当然ですが、縦構えれば縦長の写真になり、それもまた使いこなせれば面白そうです。
描写の傾向としては中央はそこそこ写りますが、端部に行くほど描写はあまくなり、最も外側ではまた解像力が改善します。細かく確認すると違和感が無いわけではないですが、そもそもそれほど極端に解像するようなレンズでもないので問題にはなりません。全体的にはモノクロではそれなりに写っているように感じられます。スプロケットまで写るように作られているレンズですが、スプロケットまでは移さない方が全体的には描写が安定した印象になっていいかと思います。
30mmというもともと広角の特性を持つレンズに、横長のアスペクト比を与えられているので非常にダイナミックな印象になります。この点に関しては色の収差やフレアの影響が比較的小さくなるモノクロの方がこのカメラには向いている気がします。
また、レンズが暗い事、SSが一速しかないことに関しては、ダイナミックな写真にしたいのであればそこそこ天気のいい屋外になるのであまり問題にはならないのかもしれません。カメラの喜ぶ場所を探す感じですね。
引き伸ばしに関しては、ガラスネガキャリアが500円程度でヨドバシなどから販売されているので、専用のネガキャリアを作るよりもガラスネガキャリアの方が良さそうです。ちなみにカラーネガのデータ化に関してはお店によっては対応していないお店もあるとのことなので要注意です。

DSC_0412






DSC_0421






DSC_0423






DSC_0414

















3. 総評
果たしてスプロケットロケットはマミヤプレスのかわりになるのか?という点では特に周辺の解像力の弱さや、ごくわずかですがコマ被りしたり、シャッター音が小さすぎてちゃんと切れてるか不安になったりなど、ここ一番という時には信頼しきれない感覚はあります。
一方でマミヤプレスに比べて圧倒的に軽く、フィルムも通常のライカ判のフィルムで問題ないため、気軽にパノラマを楽しんでみたいという人には良いのではないでしょうか。
個人的には結構気に入っていて、車のグローブボックスやバイクのサイドバックに入れっぱなしにしておいて、気が向いたら使ってみるという使い方が楽しいように思います。
1万円で手を出せるというので、飲み会2~3回分だと思って買ってみるのもいかがでしょうか。