フィルム選びって楽しいですが、そもそも種類が多かったり現像液が必要だったりでややこしいですよね。そこでフィルムの情報を感度帯別にまとめてみました。各銘柄にデータシートのリンクを付けてありますので、さらに詳細が知りたい方はクリックしてみてください。

これらの情報がフィルムカメラ活動の一助となれば幸いです。

※解像度はフィルム評価の一側面です。トーンや粒子感が良い影響も与える事もありますので、解像度が低いから低品質というわけではありません。
※コストはフィルム価格+現像液一回分の費用です
1. 低感度フィルム
銘柄指定現像液感度増感コスト解像度
(lp/mm)
感光分布サイズ
PanF+無し501001070155パンクロ135/120
RPX25無し2525990 260パンクロ135/120/4×5
HR-50HR-Dev50801150280赤外135
Orthopan URSPUR Nanotech UR50501180800オルソ135
Copex RapidSPUR Nanotech UR50501120600パンクロ135/120
Ortho PlusSPUR Acurol N25251280330オルソ135/120/4×5
CMS 20 Ⅱ PROAdotech Ⅳ20201500800オルソ135/120/4×5

【増感性能】
増感性能に関してはどれも画質を追い求めているために、突出したものはありません。夜間や室内はどれも厳しいですね。
【コスト】
どのフィルムも比較的高価な部類に属します。特にCMS20は高価ですが、これは純正指定の現像液の値段がかなり高価な事が原因です。RPX25は低コストながらPanF+よりも高解像で指定現像液も無いので試してみるには良いかと思います。
【解像度】
CMS20が突出していますね。CMS20が出る前はOrthoPlusが高解像で名を馳せていましたが、その倍以上の高解像です。解像度に限れば、大抵の大判フィルムよりも高解像というのはうなずけます。
【総評】
低感度なので使いづらさもありますが、その分高解像なものが多く面白い感度領域です。どれも試してみたいですが、感度が低いとスナップにはやや不向きですね。f1.4~f2.0程度の明るいレンズか、三脚が必要になります。
【比較情報サイトリンク】
・CMS20とOrthopanURの比較

・RPX25に関して(ややPanF+より高画質との事)



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Film : HR-50 / Developer : Silvermax

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Film : HR-50 / Developer : Silvermax




2. 常用フィルム


銘柄指定現像液感度増感コスト解像度
(lp/mm)
感光分布サイズ
Superpan200無し2001600920181赤外135/120
SFX200無し2008001370No Data赤外135/120
Fomapan 200無し200400840110パンクロ135/120/4×5
Arista EDU Ultra 200無し200400890110パンクロ135/120/4×5
FP4 PLUS無し125400930150パンクロ135/120/4×5
Kentmere 100無し100800820No Dataパンクロ135
Seagull 100無し100800670No Dataパンクロ135
RPX 100無し100200930160パンクロ135/120
Fomapan 100無し100400800110パンクロ135/120/4×5
Arista EDU Ultra 100無し100400850110パンクロ135/120/4×5
APX 100無し100400830No Dataパンクロ135
Retro 80S無し80100880287赤外135/120
SilvermaxSilvermax1001001190No Dataパンクロ135
T-MAX 100TMAX DEVELOPER1008001210200パンクロ135/120/4×5
AcrossⅡMICRO FINE100100980200パンクロ135/120
Delta 100PERCEPTOL1001001240200オルソ135/120/4×5
*Retro80Sの解像度の値はAviphoto80と同等という事でそちらの値を採用しています。
*KentmereとSeagul, FomapanとArista EDUはそれぞれ中身が同じです。
【増感性能】
増感性能に関してはSuperpan200がISO1600まで可能という事ですが、シャドーの表現が苦手なフィルムなので実際にはISO800くらいの設定なのかもしれません。意外にもTMAX100は純正現像液でISO800まで増感できるので、便利ですね。
【コスト】
コストに関しては670~1370とかなり幅が広いです。Seagulは特にコスト面で強いですが、ilfordの入門フィルムとしての扱いになるのでFP4+の下位互換という存在です。他のフィルムで慣れていると少し物足りないかもしれません。
【解像度】
Retro80Sが突出していますが、コントラストが高く扱いにくいとのコメントもあります。扱いやすく高画質なのはT-MAX100,Acros100Ⅱ,Delta100あたりです。特に諧調表現がフラットなDelta100が扱いやすいですが、T-MAX100はフィルムらしい独特の諧調です。また、AcrosⅡは繊細な所も描写でき美しい写真が撮れます。
【総評】
コストや画質や諧調に特化したものや、バランス型のものなどバリエーションがありますね。また、数値比較が難しい部分ですがSilvermaxは銀の含有量が非常に多く、諧調が豊かでラティチュードも他のフィルムより格段に広いことはコストの高さを納得させてくれるでしょう。解像度は200lp/mmあればかなりの高画質に感じられます。特に67判以上ではロール紙(幅1mの印画紙がロールになったもの。切り出して使う。)で粒子がルーペでようやく確認できるほどでした。
スナップとの兼ね合いも取れる感度なので、最も楽しみやすい感度領域です。
【比較情報サイトリンク】
・Acros(Not AcrosⅡ)とDelta100とT-MAX100の比較

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Film : Silvermax / Developer : Rodinal

3. 常用高感度フィルム
銘柄指定現像液感度増感コスト解像度
(lp/mm)
感光分布サイズ
HP5 PLUS無し4006400940120パンクロ135/120/4×5
Kentmere 400無し4001600830No Dataパンクロ135
Seagull 400無し4001600800No Dataパンクロ135
Tri-X無し400128001070100パンクロ135/120/4×5
RPX 400無し4001600930110パンクロ135/120
Retro 400S無し400800880161パンクロ135/120
Infrared 400無し4004001070160赤外135/120/4×5
Fomapan 400無し400320085090パンクロ135/120/4×5
Arista EDU Ultra 400無し400320090090パンクロ135/120/4×5
Pancro400無し40016001250No Dataパンクロ135/120/4×5
APX 400無し4001600880No Dataパンクロ135
Delta 400PERCEPTOL4004001240No Dataパンクロ135/120
T-MAX 400TMAX DEVELOPER40032001230200パンクロ135/120/4×5
Retropan 320RETRO Sp. Dev.320640760No Dataパンクロ135/120/4×5

【増感性能】
フィルムによってまちまちですが、ISO1600程度までは多くのフィルムが可能な範囲です。特筆すべきはTriXのISO12800ですが、HP5+のISO6400もかなりの高感度です。Fomapan400,Arista EDU Ultra400, T-MAX400がISO3200で後に続きますが、Fomapan400はHOLGA400とも同等品でフレアが出やすいのでしっかり撮るのであれば高解像なT-MAX400を採用した方が良いかと思います。
【コスト】
コストに関してはSeagul400が抜きんでていますが、HP5+やTriXも高価という印象は受けませんね。一方で専用現像液採用のDelta400とT-MAX400は高コストで、またPancro400もフィルム自体の価格が高いために割高感があります。Pancro400に関しては数値比較できませんが、乳剤が二重に塗られていることから高品位な諧調が得られます。それは他のフィルムでは手に入らないものです。
【解像度】
高感度なのでどれもそこまで高いわけではないですね。T-MAX400とDelta400が最も高解像です。この感度域ではあまり高解像に期待しない方が良いでしょう。
【総評】
高感度になり、解像度は下がりましたがこれまで以上の増感が期待できます。この感度領域ではより多くの撮影のチャンスを逃さないことが利点だと思います。なにはともあれ、撮らなければネガはできないので旅行など先行きの不透明な場合では積極的に使っていきたいです。
【比較情報サイトリンク】
・TriXとHP5+の比較

・TriXとHP5+とT-MAX400とDelta400とXP2の比較
※汎用現像液での条件なのでT-MAX400とDelta400は除外して考えた方が良いかと思います

・ISO400での撮り比べをしたサイト

・TriXの増感性能(~12800)の報告サイト


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Film : Pancro400 / Developer : Rodinal

DSC_2090
Film : HP5+ / Developer : Rodinal

DSC_2096
Film : HP5+(ISO1600) / Developer : Rodinal



4. おすすめのフィルム

低感度フィルム:f1.4~f2.0のレンズで開放を多用すればそれなりに撮ることができました。HR-50を使用しましたがその解像にはとても驚かされました。

常用フィルム:f2.8程度の明るさのレンズなら積極的に撮っていけます。この中ではSilvermaxとAcrosⅡを使っています。諧調重視かつラフに撮れるのはSilvermaxで、解像重視のしっかり撮るにはAcrosⅡという風に使い分けています。大判では単価が安く素直な描写のFomapan200を使っていますが、埃が混入する事も多いので練習用と割り切っています。

常用高感度フィルム:HP5+を増感前提に使用します。今のところISO1600くらいまでですが、増感してもそれなりに綺麗なトーンを維持できているように思います。またPancro400は軟調かつ粒子がやや粗いため、レトロっぽく撮るにはとても良いと思います。RPX400はシャドーがとても丁寧に表現されるように思いますので、ソリッドなストリートスナップには向いていると思います。


99.資料に関して
99.1 解像度(lp/mm)に関しては基本的にデータシート記載のモノをそのまま使用していますが、一部情報のないものに関しては過去の写真雑誌などから引用しています。
99.2 フィルムの価格に関してはヨドバシ、かわうそ商店、Silversaltでの販売価格を参照にしています。
99.3 コスト算出に関しては
コストはフィルムの三社の平均補正値+現像液代(一回分)を使用しています(停止液および定着液はフィルムの種類に左右されないので含みません)。
また、フィルムの値段には以下の補正値を採用しています。
ヨドバシ :送料無料+10%ポイント還元→10%差し引いた補正値
かわうそ商店 :送料無料
Silversalt :送料有り →かわうそ商店より130円*以上安い場合は130円上乗せした補正値
*130円という値はかわうそ商店との根差がある場合のざっくりした中央値を撮っています。
99.4 増感に関してはD76,ID11,Rodinalでのデータのみ参照しました。また、専用現像液があるものに関しては、専用現像液のみでの増感性能としています。情報はMassive Dev Chartから引用しています。